ねとられ峠

てのりさんがユーモアを磨く秘密基地。サブカルっぽいことをなんか喋ります。

【おすすめ】リア充ゲーミフィケーション - 「弱キャラ友崎くん Lv.1」【ライトノベル】

 今回はおすすめのライトノベルをご紹介。第10回小学館ライトノベル大賞優秀賞作品「弱キャラ友崎くん」シリーズ(ガガガ文庫)。その第一巻でございます。

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弱キャラ友崎くん Lv.1 | 小学館

 発行が2016年5月23日。現在2017年2月なので、発売&読了からおよそ9ヶ月ほどのラグがあるのですが、読むだけ読んでそのままでは勿体ないので、これからまとまった時間が見つかり次第、こうしてちょくちょくアウトプットしていこうと思っております。

 私事ながら、第10回小学館ライトノベル大賞ガガガ文庫部門には、現在『カクヨム』に掲載している拙作『純白の魔性』を投稿して残念ながら二次落ちしてしまいました。今回紹介する「弱キャラ友崎くん」は、拙作の他1128作品の頂点5作に選ばれた、ということで、勝手にエモさを感じたりしています。

【ぜひぜひ読んでみてください】

kakuyomu.jp

 

 

 ストーリー 

弱キャラ友崎くん」のボディコピーはこちら。

人生はクソゲー。このありふれたフレーズは、残念ながら真実だ。日本屈指のゲーマーである俺が言うんだから間違いない。だけどそいつは、俺と同じくらいゲームを極めてなお、人生は神ゲーと言いきった。生まれついての強キャラ、学園のパーフェクトヒロインこと日南葵(ひなみあおい)。挙句。「この人生(ゲーム)のルールを教えてあげる」だって? ……普通はそんなの信じない。だけど日南葵は、普通なんて枠にはまったく嵌まらないやつだったんだ! 第10回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作。弱キャラが挑む人生攻略論、ただし美少女指南つき!

  ざっくり言うと、世界ランカーのゲーマーながら私生活の冴えないオタク主人公・友崎くんを、社交的で友人の多いクラスの中心で談笑しているスクールカースト上位の女子がプロデュースして、「人生をロールプレイング的に攻略していこう」と引っ張る物語。

 作中早々に、主人公・友崎くんと同様にヒロインの日南葵(ひなみあおい)も重度のゲーマーで、格ゲーのランカーである主人公を認知しており、「人生はクソゲー」とふてくされるそのスタンスに「そんなことはない、人生は神ゲー」と物申す、そんな筋書きになっております。これが非常に奥ゆかしい。

 何が面白いのかと言いますと。

 ゲーマーである両者間には、前提として「人生はゲームである」という価値観が共通していて、それが擦りあっているからこそ物語が成立しているところです。

 ヒロインが提示する「口角をあげる」「他人と会話をし、自らの得意な会話の条件を探る」「姿勢を正す」といった細々した試練を主人公が的確にこなしていく様子は、まるでロールプレイングゲームの初期段階でレベルの低い勇者がインフレ気味に経験値を積み、レベルアップをしていくように思えます。

 この観点ってライトノベルだからこそ映えますよね。

 ナチュラルメイクでかわいくキメたヒロインが主人公をいきなり自らの部屋に連れ込み、すっぴんを晒すことで「私もレベルアップすることで人生を神ゲーに昇華した」と宣言するところなど、まるでソーシャルゲームチュートリアルのような「こうすればよい」という指南を、読者の欲しがっているシチュエーションに乗せて表現してくれているようで、とても魅力的に映ります。

 たとえばパズドラやシャドウバースみたいなヒット作も、チュートリアルの作り込み方に結構なこだわりを感じるじゃないですか? ああいう「一度やらせてみる」ことってハードルが高いので、ヒロインの交渉術には学ぶところがありました。

 

 ヒロインの行動=ゲーミフィケーション

 UX(ユーザーエクスペリエンス)はモノづくりの基本、とはいいますが、まさにこの「体験させる」ところを細分化し、ゲーム化したものを「ゲーミフィケーション」と呼ぶ……と私は解釈しております(言葉先行でいろいろ解釈があるので興味のある方はご自身で調べてみてください)。

 

smmlab.jp

 

 これまで体験したことのない「人生を”神ゲー”とおく世界」を要素ごとに細分化して、それをひとつずつ達成していくことで主人公をプロデュースする。もちろんライトノベルなのでシコれる要素も忘れない。主人公はゲーマーなので、こうして実力をつけて経験値を得て、レベルアップすることで次のステージへ……という部分にも理解が及んでいる。

 どことなく、自らの私生活にも投影できるような気がします。

 

 

野ブタ。」との相違点

 唐突ながら、みなさんは「野ブタ。をプロデュース」を覚えておられますか? 2004年に刊行され、2005年にはテレビドラマ化。ダブル主人公・修二と彰がユニットとして出したCDシングル「青春アミーゴ」は同年の年間セールス1位に輝きました。

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 社会現象化した作品なので、ストーリーの大枠を覚えておられる方も少なくないかと存じます。この作品の主人公、桐谷修二も「人生はつまらない、この世はすべてゲームだ」と考えているところに一つ目の共通点が。

 冴えない転校生をプロデュースして、いじめられっ子→クラスの人気者へと導くという「プロデュース」部分に二つ目の共通点があります。

野ブタ。」と異なる点は、まずは動くキャラクター。男性目線・男性中心のストーリーが展開される「野ブタ。」と比べ、「友崎くん」はライトノベルということも手伝って美少女が頻出します。

 そして最も大きな相違点は、「野ブタ。」の修二が周囲の人間を嘲笑う、人間性が幼いタイプだったことに対して、「友崎くん」の主人公やヒロインは、そこらへんを一歩下がったところから見ており、ある種達観しています。

 今ある人間関係の輪にどう自らをねじ込んでいくか、そこから今度は各キャラクターにスポットを当てる描写へと切り替わり、他のヒロインやキャラクターの個性を引き立たせている部分が素晴らしい。結果、救いのない結末に陥ってしまった「野ブタ。」と異なり、未来に展開できるような、前向きなラストになっています。

 

 

全体を通しての感想

弱キャラ友崎くん」の大まかな物語には上述したゲーミフィケーションなどは直接関連せず、クライマックスでは「適材適所」というか、「努力を貫く姿勢への評価」とか、そうしたアツい要素が中心になっていて、さんざん主人公へ”指導”してきたヒロインが一杯食わされる、というようなオチなのですが、中盤の構成に関心があったので、そこを取り上げて記事にしてみました。

 やっぱりライトノベル面白いですね。一般文芸も好きなんですが、「中高生向け作品が多い=物語の目的がはっきりしている」ぶん、短時間でサクサク楽しめます。

 

まとめ

 UXとかゲーミフィケーションとかユーザーフローとかとか。そうした「体験」に根差す考え方に注目が集まる昨今。奥が深い分野ではありますが、それをうまく作品へと落とし込んだ良例としてこの「弱キャラ友崎くん」を推させていただきます。

野ブタ。のラストがハッピーエンドだったらなあ」「可愛い女の子に調教されたい」みたいな願望をお持ちの方は、手に取るとハッピーになれるかもしれませんよ。2017年2月時点で全3巻発売中。

 それでは、今回はここらで筆を置かせていただきます。

 P.S そういや、亀梨くんと山Pがユニットを再結成するらしいですね。今度は”何と何”なんだろうか。